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コンスエグラの風車|ラ・マンチャで出会った、ドンキホーテの丘と絶景

風車が見たい。
それは、ずっと昔から心の中にあった、小さな夢だった。

荒涼とした平原に、ぽつりと現れる小高い丘。
その上に並ぶいくつもの風車が、乾いた風を受けて静かに回っている――
そんな風景を、いつの頃からか思い描いていた。

その景色が実在する場所。
マドリードから車で2時間弱、ラ・マンチャ地方にある「コンスエグラ」。

オランダ・キンデルダイクに続く、風車シリーズ第二弾。
ついに、その場所に立つことができた。

ここが、私のアナザースカイ(笑)

 

スペイン中央部、ラ・マンチャ地方には、小説『ドン・キホーテ』に登場するような風車が今も点在している。
コンスエグラのほかにも、モタ・デル・クエルボ、トメジョーソ、カンポ・デ・クリプターナなどが知られている。

 

町に入ると、さっそく遠くの丘の上に風車の姿が見えてくる。

 

車を進めるにつれて、その数は少しずつ増えていく。

「ああ、あそこにあるんだ」

そう思うだけで、胸が少し高鳴る。

 

町のレストランも、風車やドン・キホーテをモチーフにしていて、この土地の物語性を感じさせる。

 

やがて、風車が建つカルデリコの丘が近づいてくると、背後にコンスエグラ城の姿も見えてきた。

 

丘の麓に到着。
ドン・キホーテの影絵の下に「駐車場」の看板がある。

ガイドブックには「一般車は丘の上まで進入禁止」と書かれていたため、素直にレンタカーを停め、歩いて登ることにした。

 

……これが、思った以上にきつい。

標高差は約100メートル。
遮るもののない丘を、ただひたすら直線的に登っていく。
乾いた風と強い日差しに体力を削られながら、息を切らして進む。

 

そして、ようやくたどり着いたその先で知る衝撃の事実。

——他の観光客、普通に車で上まで来ている。

どうやらルールはあってないようなものらしい。

 

少し苦笑しつつ、今登ってきた斜面を下りて車を回収。

 


気を取り直して、今度は車で頂上へ向かう。

改めて見る、コンスエグラ城と風車の並ぶ風景は、やはり圧巻だった。

 

コンスエグラ城の起源は8世紀。
アッバース朝のカリフによって建設された要塞が始まりで、その後スペイン独立戦争中にナポレオン軍によって破壊され、現在の姿に復元されたという。

 

そして丘の上には、かつて13基の風車が並んでいた。
ドン・キホーテがそれを「巨人」と思い込み、突撃したという有名なエピソードの舞台でもある。

現在は12基が復元され、重要文化財に指定されている。

 

「ドン・キホーテの道」の案内看板

 

 

カバリェロ・デル・ベルデ・ガバン(Caballero del verde gabán)

風車にはそれぞれ名前が付けられている。

 

ルシオ(Rucio)

 

風車の入口にはドン・キホーテのオブジェもあり、訪れる人々を静かに見守っている。

 

ラ・マンチャの太陽は容赦なく照りつけ、空はどこまでも青い。
白い風車とのコントラストが、とても美しい。

 

エスパルテーロ(Espartero)

 

青く塗られた階段がとてもいい雰囲気。

 

丘から見下ろすコンスエグラの街並みも印象的だった。
ドーム型の屋根が特徴的なサン・ファン・バウティスタ教会は、16世紀に建てられ、イスラムとキリスト教が融合したムデハル様式の影響を受けているという。

 

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荒涼とした丘に並ぶ風車、乾いた風、強い光。
そのすべてが、確かに目の前にあった。

長い間、ただの「イメージ」だった景色が、
現実として目の前に広がっている。

私は時の経つのを忘れて、いつまでも丘の上に立ち尽くしていた。

私の他に誰もいない。耳に入るのは時折吹くラ・マンチャの風の音だけ。

丘を駆け上がってくるその風はとても乾燥していて、強い太陽によって滲んだ汗を瞬く間に乾かし、過ぎ去っていく。

これがあの日、心の中で思い描いていた風景。

その瞬間の静かな感動は、きっとこれからも忘れないだろう。

 

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