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ヴェルサイユの隠れた楽園|マリー・アントワネットの村「王妃の村里」を歩く旅

パリ観光といえばヴェルサイユ宮殿が有名ですが、今回訪れたのはその奥に広がる、まるで絵本の中のような場所——

皆さんは「王妃の村里(Hameau de la Reine)」をご存じだろうか。

王妃の村里は、マリー・アントワネットがヴェルサイユ宮殿の厳格な礼儀作法や、絶え間なく訪れる人々の喧騒から離れて過ごした静かな隠れ家です。

ウィーンの宮廷でのびのびと育った彼女は、厳格な宮殿生活に馴染めず、夫ルイ16世から贈られたプチ・トリアノンを拠点に、自然を楽しめる庭園や田舎風の村を作らせました。

この村では子どもたちと過ごしながら田園生活を体験し、親しい人々と娯楽を楽しむなど、自由で穏やかな時間を過ごしていました。しかし、なぜか彼女はここに宿泊することはなかったとされています。

私は、数奇な運命をたどった彼女が、絢爛豪華なヴェルサイユ宮殿ではなく、人工の箱庭とは言え、このような田舎暮らしに憧れた気持ちが少し分かるような気がして、ヴェルサイユ宮殿よりもこの王妃の村里をまず見てみたい。そう思いました。

 

サン=アントワーヌ門 (Porte Saint-Antoine)

ヴェルサイユ宮殿から遠く北に位置するサン=アントワーヌ門 
ここは、今回の目的地「王妃の村里」至近の入口です。 

 

案内板を見ると、「トリアノン宮殿」や「マリー・アントワネットの庭園」など、広大な敷地が広がっているのがわかります。

門をくぐると石畳の道、並木道、そして静寂。

まるでタイムスリップしたような感覚に陥ります。

 

歩いていくと、羊がのんびりと草を食んでいる風景が。

 

ここは王妃のために作られた“理想の農村”。
実際に農作業や酪農も行われていたそうです。

 

家守の家 (La Maison du Garde)

訪れる人々を最初に出迎える建物がこの家守の家。

村里内の警備や維持管理を担当する「家守(番人)」が住むために建てられました。

藁葺き屋根の家、木組みの建物、小さな小屋…。

どの建物も本当に可愛らしくて、まるで童話の中に入り込んだよう。
屋根には植物が生えていたり、煙突が並んでいたりと、細部まで凝っています。
粗末な農家に見えるよう、あえて「ひび割れ」や「汚れ」を描き込んだり、藁葺き屋根を採用したりするなどの演出が施されています。

 

鳩小屋(Pigeonnier)

小屋の屋根の上にはたくさんの鳩が。
人工の静かな風景に、動きと生命感と少しの現実を与えてくれます。

 

畑や庭も整備されていて、実際に野菜や植物が育てられています。

観光地でありながら、ちゃんと“生活感”があるのが印象的でした。

 

村の中心には小さな湖があり、そこに建つ塔と建物の景色が本当に美しい。

水面に映る風景は、まさにフォトスポット。

雨の日でも、しっとりした雰囲気がむしろ魅力的でした。

 

マルボローの塔 (Tour de Marlborough)

灯台のようなこの塔は、釣り道具の保管場所。隣の建物は休憩に使われていたそうです。

 

水車小屋 (Le Moulin)

この水車小屋は粉挽きなどの実用性はなく、景観のための装飾的な建物でした。

箱庭作りのスケール感に圧倒されます。

 

王妃の家(La Maison de la Reine)

右側の「王妃の家」と、左側の「遊戯の家(ビリヤードの間)」の2棟が、木造の屋根付き回廊で結ばれています。外見は他の建物と同様に、あえて古びた農家のように見せるための装飾が施されていますが、内部は王妃にふさわしく非常に洗練された内装となっています。

 

調理場 (Le Réchauffoir)

王妃の家の裏側に位置する調理場。

当時の建築では、火災のリスクや調理の匂いを避けるため、メインの居住棟から少し離れた場所に独立した調理棟を建てることが一般的でした。料理人たちはこの石畳の通路を通って王妃が待つダイニングルームへと料理を運んでいました。

 

まとめ

ヴェルサイユ宮殿の華やかさとは対照的に、
この村は「静けさ」と「自然」が主役の場所でした。

✔ 人混みを避けたい人
✔ 風景写真が好きな人
✔ ヨーロッパの田舎風景が好きな人

には特におすすめします。

 

旅行メモ

場所:ヴェルサイユ宮殿内(トリアノン地区)
所要時間:1〜2時間
天候:晴れでも雨でも雰囲気◎
入場料金:
トリアノンチケット 15ユーロ(王妃の村里、プチ・トリアノン、グラン・トリアノン)
パスポート 25ユーロ(ヴェルサイユ宮殿本館、トリアノン、庭園などすべて)
※王妃の村里は12:00開館。
※王妃の家などの内部見学は別途ガイドツアー(約10ユーロ)の予約が必要。
※11月〜3月の第1日曜日は、トリアノンエリアを含む敷地全体が無料で開放されます。 

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