旅の記憶。

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生きて帰る。映画「雪風-YUKIKAZE-」を見ました。

昨年お盆に公開した映画 雪風-YUKIKAZE-をようやくPrime Videoで見ることができた。

推しの當真あみが出演してるので前から見たいと思っていた映画だ🤭

映画の公開からかなり日にちが経っているけど、この映画の評価は別れてますね。

戦争映画で100点はある意味難しいと思う。

史実に基づいたドキュメンタリーにするのか

ありえない展開のファンタジーにするのか

恋愛模様や人間模様を描いたドラマにするのか

この映画は実在した駆逐艦雪風」を史実に基づいて映画化したとあるし、8月15日の終戦記念日に公開したことで、そのメッセージ性が強く出てしまった感がある。

戦争ガチ勢や歴史ガチ勢から見ると、この映画は史実と違うと言うことになるらしい。

しかし、史実を忠実に再現していなくても、本筋を大きく改変せず、過去幾度も取り上げられた「大和」でも「神風特攻隊」でもないこの「雪風」を取り上げたこと。

数多の戦局を切り抜け無事に終戦を迎えた「幸運艦」としてフューチャーし、生きて帰ることをテーマに伝えたことはとても良かったと思う。

戦は一旦始めてしまったら簡単に止められないものだ

皆が負けると分かっていてもやめられない。そして誰も責任を取ろうとせず、無理だと感じているのに周りと同調し、ずるずると悪い方へ進んでしまい最後に破綻する。

これは現代においても度々繰り返されており、最近ではフジテレビの例があったばかりだ。極めて日本的な組織が持つ悪い側面であり、現代でも基本的に変わっていない。

 

戦時中の日本兵は、お国の為、天皇陛下の為、大日本帝国万歳のモチベーションで日本国の為に戦っていたと、しばしば言われる。

しかし私が各地の施設で日本兵の手紙等を見てきたかぎり、そのほとんどがお国の為と言うのは、書かなくてはいけない枕言葉や結びの言葉のようなもので、実際は大切な家族や恋人、子供の未来を守るために戦っているモチベーションが圧倒的だった。

この映画で描かれる日本兵も、やはりそういう気持ちなんだろうと感じる場面がいくつもあった。

「自分はこれから死にに行く。」

そんな極限の決断を、自分の中で納得消化させるには、

一番大事なものを守るためになら死ねる。

そう思うしかなかったのではないか。

現代に生きる私でさえ、お国の為には死ねないが、大事な家族を守れるのなら死んでも構わない。選択を迫られたとしたら、そう考えると思う。

早瀬先任伍長(玉木宏)が寺澤艦長(竹野内豊)に問いかける。

艦長の娘さんが大人になる頃には、日本はどんな国になってるんでしょうね?

普通がいいな。

家族が当たり前に夕げを囲んで。

子供たちもいつか家庭を持ち、生まれてきた孫の顔を拝んでみんなで喜ぶ。

そんな普通の国になっていてほしいものだ。

とても心に染みる言葉だった。

 

映画後半に、中井貴一有村架純がちょい役で登場。いや~お金かかってますね~笑

この中井貴一が殊更素晴らしかった。

中井演じる伊藤第二艦隊司令長官に対して、草鹿参謀長(現在は上官だが、かつての部下)から戦艦大和に片道の燃料しか積まずに沖縄沖へ特攻攻撃に出撃せよとの命令を告げられる。

伊藤は、味方航空部隊の援護なしに出撃しても沖縄へもたどり着けないし、7000人の兵力を犬死にさせる作戦には反対だと反論するが、それが連合艦隊として最終決定した総特攻作戦だと知った伊藤は、そんな無理難題を、自分に伝えなければならないかつての部下の辛さを慮る。

草鹿

大和には1億総特攻の先駆けとなっていただきたいのです。

伊藤

作戦の成否はどうでもいい…。

死んでくれと言うのだな…。

そうか…それならわかった。了解した。

この戦争に負ける事はわかっている。

今更7000人を率いて特攻しても、戦況が変わらない事も理解している。

しかしそれでも死にに行かなくてはならない狂気の時代だったのだ。

大和を旗艦とする第二艦隊は鹿児島県枕崎付近で米軍航空機の猛攻を受ける。

伊藤はこの時点で作戦中止を決断し、雪風などに対し沈没した僚艦乗組員の救助を指示し帰投を命じる。そして自らは最期、大和とともに海に沈んでいった。

中井貴一の確かな演技力と相まって、胸に深く刻まれたシーンだった。

 

また、この映画では「手紙」も重要な要素であろう。

この映画のために書き下ろしたUruの主題歌も「手紙」である。

 

家族と離れ艦隊生活を送る兵士にとって、家族や恋人との手紙のやりとりは何にも変えがたいものだっただろうと思う。

共に生きて帰ることを誓い合った寺澤と早瀬だったが、早瀬は敵機の攻撃を受け死んでしまう。

寺澤艦長は早瀬が愛した妹サチ(當真あみ)へ手紙をしたためる。

 

お兄ちゃん、艦長さん褒めてくださったよ。

お兄ちゃん、良かったね。

サチが涙をこらえながら兄の遺品に語りかける。

そして精一杯の笑顔で「良かったね」と。

私にも年の離れた妹がおり、涙が止まらなかった。

當真あみはここのところ不幸な役回りの映画が続いているが、幸薄な役がハマり過ぎていて怖いくらいだ。可愛さの中にある物憂げな表情がとにかく素晴らしい。

そろそろハッピーオーラ全開の役も見てみたいものだ。

 

2025年1月10日 視聴

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