千年の都。
京都やローマ、北京などと並ぶ希少な千年の都のひとつ、プラハ。
世界で唯一、市全体が世界遺産に登録されている。
そんなプラハ旧市街を街歩きしてきました。
ルドルフィヌムや市民会館、ハウスサイン、ユダヤ人地区など、歴史と文化が息づく『千年の都』の見どころを巡ります【前編】
プラハ空港に到着後、まずはホテルへ向かう。

チェックインを済ませ、スーツケースを預けたら、いよいよ街歩きのスタートだ。

この日の宿はDiplomat Hotel Prague 1泊87ユーロ*1だった。
当時は欧州債務危機の影響でユーロ安・円高が進み、1ユーロ=97円前後という今では信じられない為替水準だった。
今のレートを考えると、本当に夢のような時代である。
「この頃に戻れたら…」と思わずにはいられない(笑)
ホテルを出ると、まずはトラムで中心部へ。



車窓からは、ヴルタヴァ川に架かるカレル橋が姿を現した。
橋の向こうに広がる歴史ある街並みを眺めているだけで、プラハに来た実感が湧いてくる。
ルドルフィヌム(Rudolfinum)

まず目に飛び込んできたのは、美しいネオ・ルネサンス様式の建物『ルドルフィヌム』
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地として知られ、館内には世界有数の音響を誇るドヴォルザーク・ホールがある。
ドヴォルザークといえば、やはり『家路』の旋律が思い浮かぶ。
百塔の都・プラハ
プラハは、街中に数え切れないほどの塔が立ち並ぶことから「百塔の都」とも呼ばれている。
実際に歩いてみると、その呼び名に納得する。




ヘンリーの塔 火薬塔 旧市庁舎の塔 カレル橋の旧市街側塔
視線を上げれば、至る所に尖塔が空へ向かって伸び、美しいスカイラインを描いていた。
市民会館(Obecní dům)


アール・ヌーヴォー建築を代表する傑作、市民会館。
館内には、毎年開催されるプラハの春国際音楽祭の開幕コンサートで知られる「スメタナ・ホール」がある。
音楽を愛する人なら、一度は訪れてみたい場所だろう。
旧市街を街歩き
カルロヴァ通り

旧市街のメインストリート、カルロヴァ通りを歩く。
トニーノ・ランボルギーニ・カフェ

途中で目に留まったのが、見覚えのある闘牛のエンブレム。
近づいてみると、トニーノ・ランボルギーニ・カフェだった。
スポーツカーで知られるランボルギーニ創業者一族が手掛けるカフェで、意外な場所で名門ブランドに出会えた。

周囲にはガーネットや琥珀を扱うジュエリーショップも多く、ショーウインドウを眺めながら歩くだけでも楽しい。


プラハは、どこを歩いても歴史ある建物と美しい街並みが調和していて、飽きることがない。
ハウスサイン
プラハ旧市街には、建物ごとに個性的な紋章や彫刻が掲げられている。
これは「ハウスサイン」と呼ばれ、番地が整備される以前、建物を識別するための目印として使われていたものだ。
ロマンティック街道で見かけたドイツの飾り看板にも通じる文化で、街歩きの楽しみのひとつである。

U ZLATÉHO HADA(金の蛇の家)
1714年にアルメニア商人がプラハで最初のコーヒーハウスを開いた場所として知られている。
現在もカフェとして営業しており、300年以上続く歴史を今に伝えている。


国立マリオネット劇場のハウスサイン
チェコは古くからマリオネット(人形劇)が盛んな国だ。中世の道化師や、死神をモチーフにしたパペットが、劇場入口で客を出迎える。


老舗おもちゃ屋Hračky "U Zlatého lva(金のライオンの家)
左側の細いショーウインドウに描かれる黒いモグラは、チェコの国民的アニメの主人公「クルテク(Krtek)」。中央のウインドウには、ピエロなどのマリオネットが飾られている。ロシア伝統のマトリョーシカは、チェコでも伝統的に愛されているアイテムだという。

街角のレストランには、美味しそうな料理名が並んでいた。
- プラハ風グヤーシュ
牛肉をパプリカやスパイス、ビールでじっくり煮込んだチェコの代表料理。もちもちの茹でパン「クネドリーキ」と一緒にいただく。 - ペチェネー・コレーノ
豚のひざ肉を丸ごとローストした豪快な一皿。外は香ばしく、中は驚くほどジューシーで、ビールとの相性は抜群。
そしてビールはもちろんBudweiser Budvar(ブドヴァイゼル・ブドヴァル)。
実はアメリカの「バドワイザー」のルーツは、このチェコのビールにあるというのだから面白い。

La Bodeguita del Medio(ラ・ボデギータ・デル・メディオ)
キューバ・ハバナに本店を持つ有名なレストラン・バーで、文豪ヘミングウェイが愛したモヒートの名店として知られている。
店の前には真っ赤な1959年型キャデラックが展示され、キューバらしい華やかな雰囲気を演出していた。
Jozefov:ヨゼフォフ(ユダヤ人地区)
続いて向かったのは、プラハ旧市街の北側に位置するユダヤ人地区。
第二次世界大戦の戦火を奇跡的に免れたことで、中世からの貴重なユダヤ文化遺産が数多く残る地区である。
Jewish Town Hall(ユダヤ人街役場)

役場入口には、ダビデの星(六芒星)とユダヤ伝統の帽子を組み合わせた紋章が掲げられていた。

屋根には二つの時計が並んでいる。
一つは普通のローマ数字の時計。
そしてもう一つは、ヘブライ文字で表示され、針が反時計回りに動く珍しい時計だ。
ヘブライ語が右から左へ読む言語であることに由来しているという。
Staronová synagoga(旧新シナゴーグ)


1270年頃に建てられた現役としてはヨーロッパ最古のシナゴーグ。
ギザギザとした独特の屋根が印象的で、プラハのユダヤ人地区を象徴する建物のひとつとなっている。

壁の案内板には、プラハ最古級のゴシック建築であり、ヨーロッパ最古のシナゴーグであることが記されていた。

ふと見上げると、かなり高い場所まで梯子が設置してある。
これを使用するにはかなりの勇気がいりそうだ。
Obřadní síň(儀式の家)

旧ユダヤ人墓地の隣に建つ儀式の家。
かつては葬儀や宗教儀式が執り行われた建物で、現在はユダヤ博物館の一部として公開されている。

十戒の石碑を掲げるシナゴーグ。
モーセの十戒がヘブライ語で刻まれた2枚の石板とゴールドのダビデの星が輝いている。これはユダヤ教の掟と信仰のシンボル。
【後編へ】⇩
*1:当時のレートで約8,440円