長崎へ行こうと思ったきっかけは、ずっと憧れていた「端島」に行ってみたかったからだ。

ドラマ『海に眠るダイヤモンド』でも登場していたが、一般的に「軍艦島」と呼ばれているこの島の正式名称は「端島(はしま)」という。
端島への上陸ツアーが解禁されてからかなりの年月が経つが、ようやくまとまった休みを取ることができた。飛行機とホテルを予約し、「これで準備万端!」と安心してしまったのが、そもそもの失敗だった。
というのも、端島へ上陸するには、許可を受けた5社のいずれかが催行するツアーへ申し込まなければならない。
しかし私は、
「平日だし、どうせ空いているだろう」
と完全に油断していた。
後回しにしていた結果――まさかの全社満席。
さすがにここまで人気とは思っておらず、気付いた時には完全に手遅れだった。
そこからは、キャンセル待ちに望みを託し、毎日のように各社のホームページをチェックする日々。
出発まで残り1週間を切った頃には、
「まぁ、端島に行けなくても長崎観光を楽しめばいいか」
と半ば諦め気味で、気持ちを切り替え始めていた。
ところが出発2日前――。
いつものように予約サイトを確認すると、なんと空席が出ているではないか!
思わず二度見しながら、そのまま即予約。
こうして、念願だった端島行きが無事決定したのだった。
BLACK DIAMOND号で出航

今回予約できたのは「高島海上交通」のツアー。
この会社の特徴は、端島へ向かう途中で「高島」に立ち寄ることだという。

今回乗船した船は「BLACK DIAMOND」
黒を基調としたスタイリッシュな船体が印象的で、出航前からテンションが上がる。

隣には長崎県警の警備艇「でじま」が停泊していた。
ちょうど放送中だったドラマ『新東京水上警察』で、山下美月演じる海技職員・有馬礼子が操縦する警備艇「あかつき」にそっくりで、個人的に興奮してしまった(笑)
船は長崎港を出ると、しばらく湾内をゆっくり進んでいく。
船内ではガイドさんが、窓の外に見える施設や歴史について詳しく解説してくれるため、移動中も退屈しない。
【世界遺産】ジャイアント・カンチレバークレーン

まず目に飛び込んできたのは、巨大なクレーン。
三菱重工業長崎造船所にある「ジャイアント・カンチレバークレーン」である。
1909年(明治42年)に設置された日本初の電動式ハンマーヘッドクレーンで、現在も現役稼働していることから、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産にも登録されている。
100年以上経った今も現役という事実に、思わず見入ってしまった。
海底ケーブル敷設船きずな

続いて見えてきたのは、NTT所有の海底ケーブル敷設船「きずな」
日本は四方を海に囲まれた島国であり、通信インフラの多くを海底ケーブルに依存している。
普段意識することは少ないが、この船は現代社会を支える非常に重要な存在なのだと実感した。
三菱重工業長崎造船所


さらに進むと、三菱重工業長崎造船所が見えてくる。
ここには、戦艦武蔵が建造された「BERTH No.2」が現存しているという。
歴史好きとしては、それだけでも胸熱だ。
現在もここでは多くの自衛隊艦艇が建造されており、特に最新鋭のFFM型護衛艦が並ぶ光景は圧巻だった。
ステルス性を意識した独特の滑らかな船体と、スッキリした艦橋デザインが特徴的で、従来の護衛艦とはかなり印象が異なる。
しかも護衛艦として初めて本格的な対機雷除去能力を備えているとのことで、まさに次世代艦という感じだ。


FFM-9護衛艦なとり・FFM-10護衛艦ながら DD-117 護衛艦すずつき


DD-115 護衛艦あさづき DD-104 護衛艦きりさめ
神ノ島天主堂

長崎港の入口付近に位置する「神ノ島天主堂」。
左手には、明治30年建立の白亜の教会が美しく佇んでいる。
さらに右手の岬にはマリア像が立ち、長崎港を出入りする船の安全を静かに見守っていた。
長崎らしい、異国情緒と信仰の歴史を感じる風景だった。
高島石炭資料館

やがて船は高島へ到着。


上陸後、少し歩いた場所に「高島石炭資料館」があった。
入口前には巨大な端島のジオラマが展示されており、これから向かう“海上の廃墟”への期待が一気に高まる。


その隣には、海底炭坑へ作業員を運んでいた客車も展示されていた。
どこか東京ディズニーシーの「センター・オブ・ジ・アース」を思わせるデザインだ。





高島もまた、かつて炭鉱によって繁栄した島。
館内には当時の採炭設備や生活資料などが数多く展示されており、炭鉱の島としての歴史を深く知ることができた。
三菱財閥の礎「岩崎弥太郎」

高島炭鉱はもともとトーマス・グラバーらによって開発されていたが、経営難に陥ったことで岩崎弥太郎率いる三菱商会が買収。
そして、この高島炭鉱の経営を成功させたことが、後の三菱財閥発展の大きな原動力になったという。
そう考えると、高島は三菱にとって“原点”とも言える特別な島なのだろう。
高島での見学を終え、再び船へ戻る。
いよいよ、今回の旅の最大の目的地――端島へ向かう。
海の向こうに少しずつ見えてくる、あの独特なシルエット。
テレビや写真で何度も見てきた「軍艦島」が、ついに目の前に現れようとしていた。
いよいよ上陸編へ⇩
2025年10月13日 訪問