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スイスアルプスを越えてジュネーヴへ|国境の街と格安ホテル宿泊記

いよいよ旅も終盤。
最後の目的地・ジュネーヴへ向かう。

チューリヒ空港は巨大なガラス張りの構造になっており、外光がたっぷり差し込む開放的な空間だった。ヨーロッパの空港らしい洗練された雰囲気が心地よい。

 

出発まではまだ少し時間がある。
まずはラウンジで腹ごしらえをすることにした。

スイス航空のラウンジは「ビジネスクラスラウンジ」と「セネターラウンジ」が隣接しているのだが、この時は両者の違いをよく分かっていなかった。

空いていたビジネスクラス側へ入ってみたものの、並んでいる食事はかなり簡素。

どうやら本命はセネターラウンジの方だったらしい。

 

スイス航空A330が出発するディスプレイ

 

それでも、毎度おなじみの“フルーツ3種盛り”は健在。
特にバナナが妙に美味しそうで、つい笑ってしまう。

 

ラウンジ前には、JR駅でお馴染みの「Kiosk」があった。
品揃えもどこか日本の駅売店に似ていて親近感を覚える。

ちなみにKioskはドイツ発祥で、日本の駅売店はそれを参考にしたものらしい。

知らなかった。

 

ゲートで待っていた機材はスイス航空A320(HB-IJB)。

短距離路線らしいコンパクトな機材だ。

 

離陸後、窓の外には“日本アルプス”ではなく、本物の“スイスアルプス”が広がっていた。

中でもひときわ存在感を放っていたのが、グリンデルワルト近郊にそびえるアイガー。標高は約13,000ft。
今回のフライトは1時間弱の短距離路線ということもあり、それほど高度を上げていない。おかげで、アルプスの山々がまるで搭乗機と同じ高さに並んでいるように見える。

これが本場の景色か――。

ただただ圧倒されながら窓の外を見続けていた。

 

 

やがて機体は夕刻のジュネーヴ空港 R/W05へ向けてディセントを開始。

眼下にはレマン湖、そしてジュネーヴ名物の大噴水「ジェドー」が見えてくる。

時刻は21:18。ジュネーヴに到着した。

 

時間ももう遅い。
空港からはそのままホテルへ向かうことにした。

今夜の宿は「Hotel Formule1」。

ジュネーヴはスイスの都市だが、フランス国境に接している。
空港周辺で宿を探してみたものの、どこも驚くほど高額だった。

そこで周辺をよく調べてみると、国境を越えてフランス側へ入るだけで宿泊費がかなり下がることに気付く。今回のホテルはその結果たどり着いた宿だった。

“Formule1”はアコーホテルズ系列の最廉価ブランド。
以前から街中で見かけて気になっていたが、宿泊するのは今回が初めてである。

ホテルに着き、フロントでチェックイン待ちをしていたのだが、前の宿泊客とのやり取りがなかなか終わらない。

どうやらフランス語で激しく揉めているらしい。

しかもフロントスタッフは1人だけ。
こちらはただ延々と待つしかない。

5分ほど経ったところで、スタッフはようやく口論を一旦止め、こちらのチェックインだけ30秒ほどで処理。
その後また即座にフランス語バトルへ戻っていった。

以前から感じていたことだが、やはり「価格と客層はある程度比例する」のだなと、あらためて実感した瞬間だった。

部屋の鍵は暗証番号式。
しかも7ケタ。

長旅で疲れ切った頭にはなかなか厳しい。

 

部屋は狭いながらも、十分なサイズのベッドと簡易二段ベッドが備わっており、3人くらいなら泊まれそうな作りになっていた。

ただし、暖房はあるのにクーラーが無い。

ジュネーヴは軽井沢のような避暑地感覚なのだろうか。
「冷房不要」という思想らしい。

……しかし、普通に暑い。

耐えきれず窓を開けたところ、入ってきたのは涼しい風ではなく大量の虫だった。

結果、部屋は小綺麗なのに、見たこともない虫が壁や天井を歩き回るという地獄絵図に。

 

さらに部屋にはシャワーも無い。

廊下に設置された共同シャワーブースを使うのだが、密閉型で換気も弱く、とにかく蒸し暑い。シャワーを浴びても、身体を拭いているそばから汗が吹き出してくる。

しかも清掃頻度はおそらく1日1回程度。
床にはいろんな人の抜け毛が散乱していた。

これで宿泊費は朝食付きで EUR40.2(当時約4,587円)。

確かに安い。
安さを最優先にするなら十分“アリ”だとは思う。

……ただ、自分としては「リピートはないかな」というのが正直な感想である。

 

フランス側               スイス側

ジュネーヴは国境の街だ。

街を走っていると、突然かつての国境検問所跡が現れる。
現在はEU統合によって実質的に機能を失い、施設だけが静かに残っていた。

生まれた時から国境が身近に存在する環境で育てば、きっと特別な感覚はないのだろう。

しかし島国・日本で育った自分にとって、「国境」という存在はやはりどこか特別だ。

線一本で国が変わる。

その感覚が、妙に新鮮だった。

 

ジュネーヴ市内ではトラムの姿を数多く見かけた。

カラフルな車両が次々と街を走り抜けていく。
ただ眺めているだけでも楽しい。

 

どこへ行っても山が近い。

街と自然の距離感がとにかく美しい。

これぞスイス――。

そんな風景が、街中に当たり前のように広がっていた。

 

次は帰国編⇩

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2011年7月12日 2011夏ドイツ・スペイン・スイス⑪

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