旅の記憶。

旅で出会った風景、映画や日常など

LCCの破綻に思う。安さと自己責任

"WIND JET 運航停止"


イタリアのLCC WIND JETが経営破綻し、およそ30万席の予約が宙に浮く状態になりそうだと報道している。

WIND JET A320-232 (EI-CUM) 撮影:6/JUL/2012 PRG

 

WIND JETはシチリア島カターニア・フォンターナロッサ空港をハブに運航している格安系航空会社である。

バカンスシーズン真っ只中のイタリアでは、チャーター便も最盛期。

リゾート地でバカンスを楽しんでいた人々の中には、帰りの足が突然なくなって真っ青になっている人もいるかもしれない。

日本では今年になってPeachAir Aisa、Jet★などのLCCが相次いで路線開設し、マスコミに「LCC元年」などともてはやされブームになっているようである。

相変わらず軽薄な日本の報道機関は、若い女性リポーターを就航初日に取材に行かせ、大手と違うのはドリンク類が有料であるとか、座席の間隔が狭いとか、就航している空港が成田とかでちょっと不便だけど、この安さと引き替えるなら機内サービスなんていらない!絶対オトク!などと声高にレポートさせている。


私は過去に数度欧米のLCCを利用したが、その半数以上の高い確率で遅延または欠航を経験した。

  • 余裕(LCC流にいうとムダ)のない機材廻し。
  • 余裕(LCC流にいうとムダ)のない折り返し時間。

これらが組み合わさり、少しの機材トラブルや悪天候などのイレギュラーが起これば、たちまち機材が廻せなくなるのは至極当然のことであり容易に想像がつく。

そしてLCCキャリアの多くはそれらを免責条項として、代替他社便の手配や遅延を待っている間の食事代、宿泊代は保証しないこととしている。

LCCを語る上で座席が狭いとか、コーヒーが出ないとかいうことは実はどうでもいい話で、こういった目に見えにくいリスクを利用者は了承した上で、安い運賃のLCCを選択しているということを、もっときちんと自覚しなくてはいけない。

SNSで最近、機材繰りが回らなくて欠航した便に乗る予定だった乗客たちが、一人の女性グランドスタッフを大勢で取り囲み、大声で吊し上げている動画を見た。

予定が狂ってイライラする気持ちは分かるが、悪いのはそのグランドスタッフではなく、安さにつられて振替がないLCCを予約した自分たちなのだということを理解した方がいい。

報道機関は、くだらないレポートをするヒマがあったら、利用者にあまり周知されていないこのような情報こそをもっと正確に伝えなくてはいけない。

そんなことを改めて考えされられた今回の事件だった。

 

 

2012年8月14日 (旧ブログから移行)

© 旅の記憶。